6/12/2010

アメリカに家を買う その2

5/1に買う家を決めてから、各種の書類作成に奔走し、5/21にローンがおりない事態となるまでの顛末、「アメリカに家を買う」 を先にお読みください。

我が家の購入のために、週末深夜を問わず走りまわっていただいたSさん、Nさん。ローンがおりないくらいではへこたれません。今回ローンを組むために頑張っていただいたNさんにかわり、Tさんが別の金融機関に挑戦することとなりました。
そうは言っても、家の持ち主との交渉期限切れが近づいており、前回よりもさらに厳しい日程になってしまうのですが、全てはTさんにお任せするほかありません。

前回の失敗(があったとすれば)から、今回はちょっと別の書類で望むことになりました。非常にPrivateな内容なため、ここでは詳細を書けませんが、端的に言うと、前回は昨年のデータで申告したものを、今度は今年のデータで勝負しようと言うものです。
勘ぐった言い方ですが、前回正規のローンが組めなかったものを、組めるようにしましょうといわれ、高利貸から借りるのかと思いましたが、今度もきちんとした正規のものでした。
Sさん、Tさん、ごめんなさいね。
事実、最初のローン敗退の決まったその日の内に、次のローンのための書類がほとんどそろうという異常な速度で仕事をしていただいた。
そして次の日には、ローン審査へと進めることができた。

話は日本における個人情報、会社内情報の管理について。
今回、アメリカから日本にいる私に対し、大量のファイルが送られ、それらにサインをして送り返す作業が幾度となく繰り返された。
しかし、会社で受け付けた電子ファイルを、社外に送付する行為は、社内情報流出防止の観点から厳しく管理されている。
営業上の秘密文書ではないのだが、あくまで個人的な情報であるため、面倒な手続きを踏んでの電子ファイルの送信は、できることなら控えたかった。
そうなると、個人のメールで受信し、Print、サイン、ScanしてPCに取り込み、個人のメルアドから送信、が唯一の方法である。
遠距離通勤者の私の場合、PrinterやScannerを持ち歩くわけには行かず、自宅にいる時間だけが、この処理のできる時間帯となる。そんなわけで、物理的な距離と時差に加え、インフラの状況の違いに随分と悩まされた次第です。

やるべき事は他にもありました。
SJの家からすべての荷物が出た後、大家に引き渡す前に家の中の清掃業者を入れなければなりません。
その日の晩のホテルの必要です。
翌日、SJのオーナーに家のキーを返していよいよSan Diegoに向かうわけですが、我家には車が5台ありました。
去年1台は売却したのですが、もう1台売却する必要があります。それでも4台を移動させなければなりません。今のSJには、ドライバーが3人と犬が1匹。どうも数が会いません。

今は日本にいる娘は、LAの学校に戻るのですが、日本からのフライト先をSJにすることにしました。そして一人でSDまでドライブし、9月になったらLAに移ることで、1台はSJの友人に預けることにしました。
残りは3台となったので、人数的にはOKのハズですが、ことし高校を卒業したばかりの次男に、いきなり一人で650kmを運転させられないということだ。
夏休みの間、遠くに暮らす友人たちがSJに帰ってくることもあり、長男はSJに遊びに戻るそうだ。それなら片道は飛行機で、帰りには車を転がしてくればいい、ということになり、3人で2台を移動させる手はずが整った。

もうひとつ。SJから荷物が空になるのが木曜、SDに荷物が搬入されるのが、月曜ですので、木曜はSJに、金曜からはSDにホテルが必要です。
ホテルといえば、Merriott。アメリカにいる間に出張ばかりでしたが、今となってはほんとうに助かります。

ローンの行く先がわからぬままではありますが、やらなければいけないことが、まだまだ残っています。
購入する(であろう)家は、銀行の差し押さえ物件であるため、引渡しの条件はAs Isという、「あるがまま」状態です。
絨毯はよごれ、キッチンやトイレの床、壁もきれいとは言えず、カーテン、ブラインドは壊れたまま。
冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、その他の不要なものも、処分しなければなりません。
風呂やヒーターのためのボイラーは、古いために新品を入れたいと思います。
これらもろもろの作業は、Handy Manとよばれる、何でも屋に頼まなければなりません。
さいわい、Sさんが全てをアレンジしてくれたので、SDまで出向かずに、以上のことが月曜までには完了しているように計画されています。
そうは言っても、家自体がこちらの手に入らなければ、何もスタートできないわけで、いよいよ困ってきました。

SJの大家からは、引越し日の確認が入る。今月の家賃の日割り計算も、付けてきた。
Closing Dateまでに、ローンのめどが立たなかった場合、手付け金として支払った分は返却されない約束になっている。
ギブアップ宣言をして、話をチャラにするなら、手付金は戻るが、住む家を失う。
数日経過してでもローンがおりる可能性があるのなら、1日1万円の違約金ですむ。
Sさんの手配で、Closing Dateの延長を依頼したが、そろそろ、こちらも腹を決める時期が近づいていた。
ローンの審査は、通常4-5日はかかるそうだが、なんとか1-2日で処理してもらえるよう、こちらはTさんが交渉中。

5/25、住宅ローンのAppraisal Reportがとどく。これが何にどう影響するのか、すでに判別不能状態に陥っている。悪い話で話さそうだが、次はナニ?と構えてしまう。

5/26、変な情報がTさんから来た。私が2つのSS#(社会保険番号;アメリカ社会で最も大事な番号)を持っていると言う。住所はPalo Alto, CAだという。誰かが私を名乗っている?
早速自分のSS#の写しを送る。これでほとんど全ての個人情報が、GMailという一般媒体に乗り、世界中に発信されたことになる。
だれにも悪用されないことを願うばかりだ。

5/27、SJの大家が、ズケズケと家に入ってきた。自分たちが住むのに、新しい絨毯を手配するのに、部屋のサイズを測りに来たと言う。まだ、ちゃんと家賃を払って、借りている家なのに。

5/28、ローンの審査のひとつに、物件の値踏みがある。相応の金額とみなせない場合は、審査が通らなくなる。
考えてみれば、返済ができなくなったときに差し押さえる物件が、何の価値がないものだったら銀行も困るものね。
今回の物件への銀行としての値踏みは、私が購入した(まだだけど)金額よりわずかに上回っていた。ということは、無駄な出費はしなくて済んだと言うことかな。一方で、この金額により家の保険料が算出されるため、いいんだか、なんだかな?
ローンの金利がLockされた。また一歩前進だが、目的地まであと何歩あるのかがわからない。

5/29、週末に入り、動きが止まる。月曜はアメリカの祭日のため、3日間の足踏みだ。
とりあえずSJの家のCleaning Ladyを予約する。今から毎週一回ずつ、4回に分けてすこしずつきれいにして貰う予定。
この間を利用し、日本へのおみやげ品の準備を始める。

6月になった。
ローンの審査が通った後、実際の売買契約のための書類作成が始まった。これがまたすごい量で、SJにある代書屋と一緒に処理するのが大変だったそう。私のサインは登録して移譲してあったので、日本では何もすること無し。売り側と買い側の間に立ち、売買を仲介するのがEscrowという仕事。
書類がEscrowに渡り、さらに2-3日で売買成立となるそうだ。不備書類の訂正等、まだまだ大変そうなTさん。私も機密保持の全社規定と通勤時間で、あまり役に立てず。
売買成立に際し、両者による立会物件確認を省略することひとつにも、サイン付きの書類が必要。考えてみれば、当たり前なのだけれど、こうも立て続けに書類を渡されると、どんな内容にでもサインしてしまいそう。いや、すでにしているのかも。

そんな中、次男の高校卒業式。アメリカでは成人式と同じ位置づけだが、父親は都合により欠席です。

この御に及び、私が今現在職業についていることの証明が必要だと言う。5月まで給料振込を証明していても、明日から職を失う可能性のあるアメリカならではの質問だ。重ねて言うが、家を買うことは会社にとって何の関係の無い個人の問題。こんな証明を会社に頼めるわけがない。事情を知る社内の同僚に、一筆啓上願った次第です。

そしてついに、Closing期限日が来た。まだ結果は出ない。
翌日になり、シロアリ駆除の費用が届いた。これは売り手側で支払う契約なので、なんということはないが、なんとも歯切れが悪い。
さらに追い打ちをかけるように、SJの大家が朝一番に現れた。今度は造り付けの食器棚交換のための下見であるそう。まだ使用中の食器棚を次々と開けられ、主婦として嫌な思いをさせてしまった。
しかし大家のいる前で、Cleaning Ladyが仕事をしており、その姿は大家にどう映ったであろうか。
書類の不備がまた発覚。今日中も無理そうだ。

銀行からの送金が行われると連絡が入った。その翌日に正式Closing(登記)だそうだ。
登記後、細々としたHandy Man仕事の予約となる。
あとは時間を待つばかりということで、SさんとTさんには、本当にご苦労様。

書く方もつかれましたが、読む方もお疲れ様。
今回の一連の作業は、驚異的な速さだったそうです。
しかも、1回失敗も入っていますし。。。