5/03/2008
ゴールデン・ウイークと運び屋
海外で仕事をしていてこれほど腹立たしい習慣(週間)は、無い。
他国では常時緊急対応しているのに、日本の企業はお休みである。
電気やガスを止めて、点検したりするため、工場の生産機能は停止する。
幸い今年のカレンダーでは、1週間丸まる休みにするには無理がある。
ただし、そういうときに限って、日本にある組織、生産設備が必要とされがちだ。
アメリカにもクリスマス前後に会社機能が停止することはある。
ただし、広く世界で認められたイベントのため、あきらめてくれる確率が高い。日本のGWとは、基本的に違う点である。
何をいきり立っているかというと、海外脱出、帰国のラッシュである。
各航空会社は、路線ごとに割り振られた規定数のフライトしか飛ばせない。
ところがこの時期は高い金を払ってでも飛行機に乗りたい、というか、海外に出たい人たちがあふれる。航空会社はフライトを増やして稼ぎたいが、先の路線協定がある。
で、驚いたことに、航空貨物便のフライト枠を、旅客便の臨時フライトに当てるそうだ。
結果として、貨物便が日本には飛ばないことになる。
来週アメリカ西海岸から成田への航空荷物は、ひとつも飛ばないという・・・
物を送りたいんだよ、私は!
個人的なものではなくて、仕事の物!!
大至急!!!
どうするかというと、荷物に人間の振りをさせ、旅客便に乗せる。
それができなければ、人間が荷物の付属品として、旅客便に乗る。
一昔前なら、チェックインカウンターに並ぶ他人に、手荷物として運んでもらうという技もあったが、テロ対策の厳しい昨今では、よほどの謝礼を渡さぬ限り難しい。
というわけで、私が荷物と一緒に日本へ飛ぶことになった。
日本へ飛ぶ前に、オースチンから(アメリカ)国内便の運び屋をしなければならない。
ブツというのが、いかにも怪しい。
直径25cm、高さ10cmのアルミ円柱に取っ手がついている。
フタは6本のボルトで厳重に締付けられている。
爆弾に見えなくもない。
このフタの上に、ご丁寧にデジタルセンサーが接着されている。
温度と湿度を記録するものだが、時限爆弾のタイマーさながら。
こんなものと一緒に空港のセキュリティーゲートを通過しなければならない。
X線検査器で円柱の中に仕組まれた、宙吊りのブツが見えるわけはない。
ということは、「これは何ですか?」と聞かれる。
聞かれる前、検査台から係員が持ち上げる際に、
「あ、ショックを与えないでくださいね」
なんてこと、言わねばならない。
だめ、絶対だめに決まってる。
ふたを開けられたら空港の汚い空気にさらされて、宙吊りのブツが爆発、ちがった、使い物にならなくなる。
だから、ふたは開けないで。開けたら死ぬぞ。ちがうけど。
肝心なのは、毅然とした態度と、一流会社のお偉いさんをぶること。
ただし、あくまで紳士的に接し、高圧的にならないこと。
「これは何?」と聞かれたら、
「ん、ただの営業見本さ。クリーンルームで使うものだから、ここでは見せられないけどね。」
と、さらりと言うこと。
・・・
今私は登場口にいる。
さすがに最悪の事態を想定して、3時間も前に空港に着いたのだが、事なきを獲た。
次のハードルは国際線のゲートだ。
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