「ハラル」という単語をご存知でしょうか。恥ずかしながら私は、今まで気がつかずに生活をしていました。
シンガポールは地理的にも歴史的にも経済的にも、世界中の人々が訪れ生活する国です。外国からのビジネスマンの出入りが激しいため、2014年時点での統計によると、人口547万人のうちの43%つまり235万人がシンガポール以外の国の出身者だそうです。シンガポールに国籍を持ついわゆる国民は、74%の中国系、13%のマレー系、9%のインド系、およびその他で構成されるということです。
「○○系」という分類は、シンガポールに生まれていても、親の血をたどってゆくと、○○が出身地となる人達で、その人(家)の持つ血(地?)はそう簡単に変えられるものではなく、親の話す言葉、食事、宗教観、世界観が、三つ子の魂のごとく人の根源に根付くのだろうと思います。それゆえこの国にはありとあらゆる言葉、食事と宗教が入りこんでおり、仏教、道教、キリスト教、イスラム教、ヒンズー教などの教会が、隣り合わせに存在したりしています。
冒頭の「ハラル」または「ハラール」ですが、イスラムの戒律に準じていることを認証する商標であることが、こちらで生活を始めてから気づいたことのひとつです。実は日本国内でも、ハラル準拠のレストランや、ハラル料理を提供する旅館などが増えつつあるそうで、知らなかったのは私の無知・無関心のせいなのでしょう。
具体的にはイスラム教で食することが戒律に触れるとされる、豚、ロバ、ラバ、犬猫など、さらにアルコールの摂取も禁じられているため、これらを含まないことがハラルの原則です。調理をする際の油もハラル品ですし、食器もハラルの食品用とそれ以外の食器は、一緒に洗うことも許されません。食べてもよいとされるたとえば鶏肉も、その鶏が食べていた餌に非ハラル品があってはならず、ムスリム(イスラム教徒)が「アッラーの御名によって。アッラーは最も偉大なり」と唱えながら喉のあたりを横に切断しなければならないなど、他にもいろいろと厳格な儀式を必要とするようです。
お伝えしたいのはイスラム教の決まりではなく、ハラル認証が大きなビジネスになりつつあるという点です。世界には約18億人のイスラム教徒がおり、この6割の約11億人がアジアに(なかでもインドネシアが世界最多のイスラム教徒を持つそうです)生活しているそうです。食品から、石鹸、シャンプー、歯磨き粉などの日用品から、現在では化粧品にもハラル認証品が販売されており、2015年のハラル市場は100兆円とも言われています。残念ながら我々の扱う半導体業界では、このビジネスチャンスを直接ものにできそうにありません。そもそも純粋なケミカルで製造されているICは、ハラル認証を受けられるとは思うのです。ハラルPCとか、ハラルスマホなんて、、、意味ないですね。でもパッケージや広告にも不適切なものがないかどうかの、審査対象になるとのことです。
食器の下げ棚まで区別されています 緑がハラル食器
言語について
人口の43%が海外出身者で、国民もアジア各地からの文化を持ち続けているわけですから、この国にはあらゆる言語が飛び交っています。社内や街中で聞こえてくるのは中国語が圧倒的に多いように思いますが、中国語といってもシンガポール華人の祖先でわけると、福建語、潮州語、広東語、客家語、海南語等、互いに理解不能な方言があるそうです。
ユニークなのは、政府が公用語の一つとして「標準中国語(北京語)」を採用し、1979年から華人は標準中国語を使うキャンペーンが始まりました。北京語を話す人は少なかったにもかかわらずこの言葉を選んだのは、現在の世界経済が中国(とアップル)を中心にまわることを先見し、シンガポール人に世界中で活躍する機会を与えるため、と思うのは考えすぎでしょうか。このところ中国(とアップル)がブレーキともなってきているようですが。
一方、インドの言語としては、タミール語、ヒンディー語、パンジャブ語など方言というよりは別の言語があるようですが、シンガポールの選んだ公用語は「タミール語(タミル語)」だそうです。本国のインドでは、南部の一部とスリランカで使われている言葉のようですが、中国の次に世界の原動力となるであろうインドの、この地方が世界経済の中心になるようなら、シンガポールの政策を崇拝せざるをえなくなりますね。
シンガポールは、古くから海洋貿易上の重要性から多くの国の支配を受けてきました。日本も支配をした一国です。2015年は独立五十周年で大いに盛り上がったそうです。私の着任が数ヶ月早ければ、体感できたのですが残念です。独立直前はマレーシア連邦に属していました。国の北側は、幅数kmのジョホール海峡を挟んでマレーシアに隣接しており、今も最大の貿易相手国ですが、文化に関しても大いに関連しているようです。したがいマレー語も当然のように公用語のひとつにされています。
上記の標準中国語(マンダリン)、タミール語(タミル語)マレー語に加え、英語も公用語であることが、この国の発展の原動力といってもよいと思います。英語は最後に書きましたが、お互いの母語が異なる場合は英語という共通語を用いて会話がされるため、ビジネスの場においては先ずは英語が使われます。北京語、マレー語、インドのタミール語を解せない私は、英語に頼らざるを得なくなります。そうは言っても弊社社内では日本語もかなりの頻度で飛び交ってはいますが。
人口の43%が海外出身者で、国民もアジア各地からの文化を持ち続けているわけですから、この国にはあらゆる言語が飛び交っています。社内や街中で聞こえてくるのは中国語が圧倒的に多いように思いますが、中国語といってもシンガポール華人の祖先でわけると、福建語、潮州語、広東語、客家語、海南語等、互いに理解不能な方言があるそうです。
ユニークなのは、政府が公用語の一つとして「標準中国語(北京語)」を採用し、1979年から華人は標準中国語を使うキャンペーンが始まりました。北京語を話す人は少なかったにもかかわらずこの言葉を選んだのは、現在の世界経済が中国(とアップル)を中心にまわることを先見し、シンガポール人に世界中で活躍する機会を与えるため、と思うのは考えすぎでしょうか。このところ中国(とアップル)がブレーキともなってきているようですが。
一方、インドの言語としては、タミール語、ヒンディー語、パンジャブ語など方言というよりは別の言語があるようですが、シンガポールの選んだ公用語は「タミール語(タミル語)」だそうです。本国のインドでは、南部の一部とスリランカで使われている言葉のようですが、中国の次に世界の原動力となるであろうインドの、この地方が世界経済の中心になるようなら、シンガポールの政策を崇拝せざるをえなくなりますね。
上記の標準中国語(マンダリン)、タミール語(タミル語)マレー語に加え、英語も公用語であることが、この国の発展の原動力といってもよいと思います。英語は最後に書きましたが、お互いの母語が異なる場合は英語という共通語を用いて会話がされるため、ビジネスの場においては先ずは英語が使われます。北京語、マレー語、インドのタミール語を解せない私は、英語に頼らざるを得なくなります。そうは言っても弊社社内では日本語もかなりの頻度で飛び交ってはいますが。
各国語での道路案内 日本語まであります |
ビジネスで世界に羽ばたくシンガポール
海外から仕事をするためにシンガポールに来て生活している人を、ひとまとめにExpat(Expatriateの省略)と呼びますが、2009年のシンガポールの労働力人口303万人中の、なんと三分の一以上の約35%がExpatsだということです。この統計からすでに七年、Expatsの割合は増えているのでしょうか。在留邦人数は2万6千人強(2011年)ですが、外国人労働人口100万人が生活しているわけですから、決して大きな比率ではありませんね。
私が生活をしたヨーロッパ諸国やアメリカ各地と比較しても、生活のしやすさと安全で清潔な都市国家であるシンガポールは、我々Expatにとって世界最高ランクの国だと思います。もちろん文化遺産的なものを重視するならヨーロッパ、大自然と大地の大きさを重視するならアメリカということになるでしょう。
生活がしやすい反面シンガポールは物価が高く、英国の経済紙調査の都市別「生活費ランキング」で、パリ、ロンドン、ニューヨーク等の大都市を押さえて、三年連続世界一にランクされています(2016年現在)。第二位にチューリッヒ、以下香港、ジュネーブ、パリ、ロンドン、ニューヨークと続きます。また世界銀行調査の国別「ビジネス環境ランキング」でも、二年連続の第一位。二位以下はニュージーランド、韓国、香港だそうです。どちらにも登場しない東京、日本は世界標準に近づいたといえば聞こえは良いですが、良くも悪くも元気のなさを象徴しているのではないでしょうか。その点シンガポールは、活気にあふれた伸び盛りの国といえるのでしょう。
広く海外からの人と文化を受け入れ、未来に向かって突き進んでいる感じがして、一気に大好きな国になってしまいました。
金融街夜景
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