9/09/2025

2025/9月のハイク(月山)

2025/9/09 (Tue)

スーパーホテルの隣のセブンイレブンで昼食を買い出し、月山へ向かう鶴岡3日目の朝は、まあまあ良い天気
月山八合目までは、車で行ける
国指定天然記念物であり、日本遺産でもある月山(海抜1,984m、犂牛(くろうしの)山)の、山頂を含む概ね海抜1,400m以高の山域は、磐梯朝日国立公園の特別区域に指定され、日本百名山、新日本百名山、東北百名山、花の百名山(ウズラバハクサンチドリ)及び新・花の百名山(クロユリ)に選定されている
月山には万年雪および、梅雨時の大量の雪解け水が火山噴出物に大量に浸透し、山麓の多数のブナに代表される広葉樹林帯が水源林の役目を負って滞留時間400年とも言われる天然のダムを形成しており、月山山麓湧水群として名水百選、月山行人清水の森として水源の森百選にも選定されている
月山火山は、出羽山地の南北方向に沿った大断層線に噴出した成層火山であり、尾根筋や山頂部の嫌雪的植物群落をはじめ、溶岩台地にある北方の弥陀ヶ原湿原、東に張り出した月見ヶ原湿原と池塘群、東方斜面の残雪地帯とその周辺の雪田植生には、とりわけ貴重な植物が分布している
歩き始めから花が咲いており、登山の時間を花たちに取られそうだ
駐車場脇には、エゾゴマナの変種とされる、
ゴマナ(胡麻菜、Aster glehni var. hondoensis、キク科シオン属の多年草)
アキノキリンソウ
葉の特徴から、
ナワシロイチゴ(苗代苺、アシクダシ、サツキイチゴ、ワセイチゴ、サオトメイチゴ、ウシイチゴ、Rubus parvifolius、バラ科キイチゴ属の雑草的低木)のようだが、高地でも生育できるのか?
ウツボグサ
宮城蔵王でも見た、シロバナトウウチソウ(白花唐打草)の花は白色で、ときに紅色を帯びる
出羽三山神社発行の花の本ではミヤマリンドウとオヤマリンドウ、登山道の整備をしている職員によるとミヤマオヤマリンドウと教わったが、月山ビジターセンターの花リストではミヤマリンドウとエゾオヤマリンドウがあり、山形県以北の主に亜高山~高山帯、湿った草地などに生育し、エゾリンドウの高山型で、茎頂部のみに花をつけ、背が低い、
エゾオヤマリンドウ(蝦夷御山竜胆、Gentiana triflora var. japonica f. montana、リンドウ科リンドウ属)に違いない
日光戦場ヶ原とほぼ同じ、標高1,400mの月山八合目に広がる弥陀ヶ原
蜂子皇子が、月山山頂で見たのが阿弥陀如来だったので「弥陀(みだ)ヶ原」とも、神様が御田植えをされたことから「御田(みだ)ヶ原」ともいわれる
木道が敷かれた遊歩道


アキノキリンソウ
「いろは四十八池」と呼ばれる、数多くの池塘
月山から流入する雨水があるので、田代山湿原のような「高層湿原」とは言えないのだろう

田代山湿原で出逢った、イワショウブ
池塘に群生するのは、ホタルのいそうな場所に生えるから、と云う名を持つホタルイの高山型の
ミヤマホタルイ(深山蛍藺、Scirpus hondoensis、カヤツリグサ科ホタルイ属の亜高山~高山帯の高層湿原や池沼に生える多年草)
イワイチョウ(岩銀杏、ミズイチョウ(水銀杏)、Nephrophyllidium crista-galli、ミツガシワ科イワイチョウ属の一種一族の多年草)は、花茎の先に5裂する白色の花を数個咲かせ、葉は根生し、厚い腎臓形で葉柄があり、縁は鋸歯状で、多雪地の亜高山から高山にかけての湿原などに自生し、群生することが多い

エゾオヤマリンドウの花が咲くのは、晴れた日の日中だけで、雨や曇りのときは花を閉じてしまうが、開花といっても先端部がほんの少しだけ開く程度
今日は日も出ているので、咲いているのが見れるかも

小穂の形が米粒に似ることに由来する、
コメガヤ(米萱、スズメノコメ(雀の米)、Melica nutans、イネ科コメガヤ属の多年草)
キンコウカとミヤマホタルイ

エゾオヤマリンドウの花は、目一杯花が開くわけではなく、先端部がほんの少しだけ開く程度
真上から見ると、葉がきれいに90度づつの対生なのがわかる
弥陀ヶ原周遊ルートから、いよいよ登山道に入る
シロバナトウウチソウ
アキノキリンソウ
安達太良山や田代山湿原でも見た、イワカガミの実だろう
紅色のシロバナトウウチソウ
ゴロゴロ岩を登っていく
弥陀ヶ原から、少し登った


マイヅルソウも実を付けている

北に鳥海山の頭が見えた
今のところ、鳥海山よりはお天気が良い
イワカガミ
直系30cmほどの砂利とセメントで作った足場が、結構な数設置されているが、ここまで持ってくるだけで大変な労力だ
エゾオヤマリンドウの花
葉から、セリでしょう。右下には実も見えます
ほとんど翅の見えない、芋虫のようなバッタ
山頂まで、基本はなだらかなのだが、延々と登り坂
アキノキリンソウ
アジサイの仲間
ダラダラ坂が続くので、標高1,500m台を通過するのに、かなりの時間を費やした
東北地方の日本海側高山に分布し,頭花が上向きに咲くアザミは、
ウゴアザミ(羽後薊、Cirsium ugoense、キク科アザミ属)

ミドリヒョウモン(緑豹紋、Argynnis paphia、タテハチョウ科ヒョウモンチョウ族のチョウ)
予報通り、雲行きが怪しくなってきた
巨大なキンミズヒキ?



紅葉であれば、オガラバナかもしれないが、黄葉なので、那須日の出平で見かけたミネカエデだろう
アオヤギソウの高山種の、
タカネアオヤギソウ(高嶺青柳草、Veratrum maackii var. parviflorum f. alpinum、シュロソウ科シュロソウ属の多年草)
炭疽病にやられたような葉ですが、何かが3本飛び出しています
ところどころ、岩の急登が出てくる
一見月山山頂のように見えることから「オモワシ山(1,828m)」というユニークな名を持つピーク

円形のセメント足場は、誰が何時こんなところまで
鳥海山方向も、雲で見晴らしがなくなってきた
ユリ科の蒴果(さくか)だが、新・花の百名山で取り上げられたクロユリかどうかは不明

田代山でも見た、クロヅルの種だろう
セリ

たたみ石と呼ばれる、見晴らしのいい丘に出た



上空の風は強く、雲が切れると陽射しが強い
雲が流れてくると、途端に
たたみ石エリアは、天空のお花畑

すわ、チングルマがまだ咲いている!と早まったが、
ハクサンイチゲ(白山一花、白山一華、Anemone narcissiflora、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草)
白色の花弁に見えるのは萼片で5 - 7枚あり、亜高山帯から高山帯の湿った草原に生育する

葉の幅が広く先端がとがらず、花の柄が短いと、エゾノハクサンイチゲというそうだが、この葉先は丸いよね
これは尖って見える

こちらはウメバチソウ、またはその高山種、コウメバチソウ
コウメバチソウの仮雄蕊が7-11裂するのに対し、ウメバチソウは12-22裂するというが、すでに受粉後のようで、仮雄蕊も雌蕊もはっきりしない
ホソバイワベンケイ(細葉岩弁慶、Rhodiola ishidae、ベンケイソウ科イワベンケイ属の多年草)の実
ツリガネニンジンの高山型で、亜高山~高山に生育する、
ハクサンシャジン(白山沙参、タカネツリガネニンジン(高嶺釣鐘人参)、Adenophora thiphylla、キキョウ科ツリガネニンジン属の多年草)
佛生池(ぶっしょういけ)小屋が突然現れた
ということは、やっと九合目か
ハクサンフウロ

小屋の前には、かつて佛生池に祀られていたという阿弥陀如来やお地蔵さん
佛生池を守る、真名井神社の祭神は豊受姫命(トヨウケビメ、イザナミの尿から生まれた水の神ワクムスビの子)
弥陀ヶ原の先で、重そうな荷物を運ぶ人に抜かれたが、佛生池小屋の主さんでした
佛水池(ぶっすいいけ)、毒池(ぶすいけ)と呼んだ時代もありましたが、現在は佛生池(ぶっしょういけ)標高1758mで、登山コースのちょうど中間点って!
佛生池小屋から先に進んでみたが、お天気は明らかに悪くなっている
あとわずかで「行者返し」という急登場所だが、眺望も無いと思われ、撤退することに
朱鳥2年(687)役行者(えんのぎょうじゃ、役小角(えんのおづぬ))が出羽三山に来訪し月山に登ろうとしたが、頂上近くまで来たところで、白髪の老翁に化けた能除(蜂子皇子に仕える除魔童子と金剛童子という説もある)いわく「この山は尊いお山で、不浄の者が来るべきところではない。よろしく荒沢の常火をもちいて修行にいそしみ、七五三の注連をかけて出直すように」と押し戻されてしまう
簡単に言うと、「修行が足りない、未熟だ」とダメ出しを食らったのですが、我々も同じだったのかも
赤はハクサンフウロの花後、白はハクサンシャジンの実
ハクサンフウロ

ハクサンシャジンの実が、こんなに
大群落だったのですね、一株でも咲いていてラッキーでした
下山路で再びハクサンイチゲ

後方の緑の玉は、実になりかけたハクサンイチゲ
霧がどんどん降りてきています
ガンコウランにしては実が見えないし、ミネズオウにしては葉が細く密だ
ヤマハハコが残っていた
アキノキリンソウのあるところまで、降りてきた
不明

ミヤマリンドウ(深山竜胆、Gentiana nipponica、リンドウ科リンドウ属の多年草、日本固有の高山植物)を発見
リンドウなので1つの花冠だが、先は5枚の裂片となり、その間に少し短い、先端にギザギザの切れ込みがある5枚の副裂片がある
花の内側に白い斑点模様が見えるが、濃い斑点模様が入っていると、タテヤマリンドウ
キアゲハ(黄揚羽、黄鳳蝶、Papilio machaon、アゲハチョウ科アゲハチョウ属のチョウ)の幼虫
花がカラマツソウによく似るが、葉の形がモミジ様になる、
モミジカラマツ(紅葉落葉松草、紅葉唐松、Trautvetteria caroliniensis var. japonica、キンポウゲ科モミジカラマツ属の宿根性多年草、高山植物)
白いものは雄蕊、緑の玉は果実で、カラマツソウの垂れ下がる痩果とは、かなり異なる
一ノ岳上近くで昼食
尾根の陰になるからか、風も穏やかで温かい

ナナカマド
丸いセメント足場は、結局九合目の上まで続いていた
イワカガミ
昼を過ぎて、山頂を目指す山伏姿の女性二人とすれ違った
今日は佛生池小屋か山頂で、お泊りなんでしょうね
この女性の足元に、クロサンショウウオ(黒山椒魚、Hynobius nigrescens、両生綱有尾目サンショウウオ科サンショウウオ属に分類される有尾類、日本固有種)がいたのですが、写真を撮る前に逃げられてしまった
弥陀ヶ原まで降りてきて、湿原を周遊する

弥陀ヶ原にも、霧が降りてきた


キンコウカ
キンコウカ、エゾオヤマリンドウ、イワショウブ

イワイチョウ
正面が月山山頂かな?
やはり翅のないフキバッタ?


エゾオヤマリンドウ
あらこんなに開いてる、しかも面白い造形
イワショウブ

行き止まりの遊歩道の突端は、池塘の一つ

よく見ると水中に沈んだ黄色い花
尾瀬、月山、北海道猿払原野にのみ自生する、氷河期から生き残る希少な水草の、
オゼコウホネ(尾瀬河骨、Nuphar pumilum var. ozeense、スイレン科コウホネ属、日本固有種)
オゼコウホネの葉は水面より上がらず、ヒツジグサとそっりだが、違いは葉の切れ込みが重ならないそうだ
キンコウカ
葉といい花といい、イワイチョウとそっくりだが、はっきりと5の花弁に見えるのがイワイチョウで、丸みを帯び重なって見えるのがウメバチソウだな
拡大してみると、仮雄蕊が12-22裂していないと思われ、7-11裂する、
コウメバチソウ(小梅鉢草、Parnassia palustris L. var. tenuis Wahlenb.、ウメバチソウ(ニシキギ)科ウメバチソウ属の多年草)と思われる
エゾシオガマ(蝦夷塩釜、Pedicularis yezoensis、ハマウツボ科シオガマギク属の多年草、高山植物)だと思うけど、葉が立ってるね
レブンシオガマやネムロシオガマのような、鳥の頭が無いのが特徴
今年出逢ったヨツバシオガマとレブンシオガマは紫系で、エゾとネムロが白花だ

弥陀ヶ原を一周して、ゴールかと思いきや、
弥陀ヶ原の別名「御田ヶ原」に由来する、御田原神社に出た
月山神社の中之宮で、山頂の本宮にたどり着けなかった人への救いの参籠所
兎は月の精で悪運から逃れる力がある事から、月山神社の祭神である月讀命(ツクヨミ/ツキヨミ、黄泉国の汚穢を洗い清める禊で、右目を洗い清めたとき生まれた神、アマテラスやスサノオの兄弟)の使いとなり、卯歳は月山の御縁年とされる
中之宮の御田原(みだはら)神社には、稲田の守護神である奇稲田姫神(クシナダヒメ、スサノオがヤマタノオロチ退治の際娶った妻、オオヤマツミの孫にあたる)が祀られている
月山神社本宮が式年造替(遷座)の為20年に一度建替えられるので、その古材を利用して御田原神社も建替されるという
その隣に、本宮への鳥居が立つ
八合目駐車場に到着し、セイタカアワダチソウかと思いきや、アキノキリンソウでした
八合目までの山道は無料、駐車場も無料、入山料も無しはありがたいことだが、大自然のままを維持管理をするためには、トイレで募金を募るよりも別の方法は無いものだろうか?





本日であった動物;
フキバッタ、ミドリヒョウモン、キアゲハ、クロサンショウウオ
今日の宿は、羽黒山の手向地区の宿坊街にある、山伏の家族が営む宿坊「大進坊」
お風呂は温泉ではないが、今日の宿泊客は4人で、男湯は私だけの独占
宿坊に泊まる一番の理由は、日本遺産でもある精進料理がいただけること
庄内の山、海、畑の産物を、神々に感謝していただく
左上はゼンマイ、右上はイタドリ、右下は赤コゴミと枝豆のずんだ、左下はワラビ
二の重は、魚のみそ焼き、庄内3号という枝豆、エビと卵
三の重は、手作りのごま豆腐、こんにゃくとサツマイモの白和え、揚げた麩の煮物、酢の物で、ご飯は米どころ山形が産んだ「雪若丸」
宿坊でお酒は無いと思ったら、ビールか日本酒が選べたので、当然日本酒
出されたお酒は御神酒だったが、神様にお供えしたものだけをいただくのだから、当然か
スーパーホテルで3泊にしなくて、大正解!

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